真さばとごまさば

油与商店店長です。

先週末より、糠さばの仕込作業を開始しております。フィーレ(三枚おろしをしたときの魚の片身のことで、
背骨のついていない食べやすい状態の身をこう言います。)のさばを自然解凍し、皮の方ではなく身の方を上にしてタンク内に交互に並べ、塩を振っていきます。
実は今年、いや昨年より糠さばの原材料となる、さばの入荷量が減少しています。これは、青魚(さんま、あじ、いわし等)特有なのですが、例えばさんまの漁獲量が多い年は、その他の青魚の漁獲量が少ないという傾向があり、昨年よりさばの漁獲量が少ないのも一因です。

また、漁獲管理が厳格になったことも原因の一つです。生物資源を維持するため、漁船1隻ごとに漁獲枠を設ける厳格な管理がスタートしたのです。

そのため、原材料の確保という面で、過去にないほどの厳しい環境に、水産加工に携わっている者がたっています。


そのため、通常は糠さばの原材料のさばには、【真さば】を使用するのですが、上記の現状のため、【ごまさば】も今季は入荷しました。

話の枕(?)が長くなりましたが、今回はこの【真さば】と【ごまさば】の違いについて書いていきます。

こちらが通常使われる【真さば(まさば)】です。

いつも食べているさばには、真さばとごまさばの2種類がありますが、一般的に真さばの方が脂があり、旨味も勝ると言われています。
旬は秋から冬にかけてで、体内に脂を溜めこみ美味しくなります(春夏は卵を持つため、真さばの栄養が卵にいき、脂が薄くなります)。
また、背鰭の数が9、10本あるのも特徴です。

一方、こちらは【ごまさば】です。お腹のところにごまのような点々模様があるのが特徴で、それが呼び名の由来になってます。

【真さば】が夏痩せるのに対し、【ごまさば】は年中品質が変わらないのが特徴で、夏場に重宝されます。

背鰭の数は、10~13本です。

ただ、この【ごまさば】は【真さば】に比べ水分を多く含んでいるせいか、身質が柔らかいのです。それで、塩漬けする際の塩の浸透具合が、あまり良くないです。製品として仕上がったとき、身の締まりが今一つのものが出来やすく、これまで敬遠してました。

今回、さばの入荷状況が厳しいので【ごまさば】を仕入れたのですが、大きいものほどその傾向があることもあり、サイズ的に中から小サイズのもので仕入れたため、それほど身のやわらかなものは皆無でした。身も厚く脂の乗りも上々でしたので、仕上がりを楽しみにお待ち下さい。